平成11年6月議会

 

◯池上典子議員 おはようございます。

 代表質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 市民派会議を代表いたしまして、以下、中司市長の所信表明に対する質問をさせていただきます。代表質問の最後ということで、既に各会派の代表の方から多岐にわたり質問がなされております。重複する部分については、できるだけ避けて質問をいたしますが、代表質問の性質上省略をすることができない部分については、お許しをいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、順次質問をさせていただきます。

 2期目を迎えた中司市長の政治姿勢について。

 市長自身もその所信表明の中で述べられておりますように、本市を取り巻く状況は、逼迫した財政・環境問題を初め極めて厳しいものがあります。市長は、この困難な状況の中であえて市政のリーダーとして手を挙げられ、今回の選挙によって多くの有権者の信任を受けられたわけです。今、市長に求められているのは、多様化する市民ニーズのすべてに、魔法使いのように、お父さんのようにこたえていく行政ではなく、立ち木1本切ることに対してでも賛成、反対の市民がいる中で、決定の経過及び結果に対する説明責任を果たし、情報を開示することによる市民との信頼関係の樹立だと考えますが、御見解をお尋ねいたします。

 また、所信表明の中で、これまでの社会システムや行政システム、市民意識や生活の在り方などすべてにわたって総決算を行い、変革していくとあります。辞書によれば、決算とは、一定期間内の収入支出の総計算です。市民意識、生活の在り方についてはともかく、行政システムに対しては、すべてにわたる総決算と変革、まさにこのことが今の枚方行政に問われています。

 所信表明の中に愛が11カ所、心が15カ所出てきます。愛や心を否定するものではありませんが、市民との信頼関係の樹立は、あいまいな言葉ではなく、明確な数値によって初めて得られると考えます。不健全な財政状況が解消されるまで、徹底した数値管理による赤字の解消が必要です。

 少子・高齢化社会を迎える中で、これ以上次世代に対する赤字のツケ、借り入れに頼る無責任な行政執行は許されません。市長のお考えをお聞かせください。

 行財政改革の取り組みについて。

 所信表明の中に、市民サービスのすべてを行政が提供できる時代ではない、行政と市民との役割分担を明確にするとありますが、それでは枚方市の行政は、何を提供し、何を担うのか、行政改革のガイドラインをお示しください。

 行政改革を促進するためには、さらに組織のスリム化を図るとともに、職員の意欲や能力、資質を引き出せるような取り組みが必要と考えます。所信表明では、地方分権に対応する一つとして、職員公募のプロジェクトチームの活用が明らかにされておりますが、その具体のイメージについて、お示しください。

 また、先進都市では、多様な能力を有した人材を見付け出すため、職の庁内公募まで取り入れているところもありますが、そこまで踏み込んで考えられているのか、あわせてお伺いいたします。

 職員について、3点お尋ねいたします。

 事務事業再構築プランを進める中で、市長のおっしゃる職員定員の10%削減を図るということは、平成8年4月の3,769人から370人強の職員を削減することになります。その目標年次とどのような部門の削減を行うのか、お示しください。

 また、事務事業再構築プランを着実に進めることにより、いわゆる現業職の方が過員となるような職場も生じてくるのではないかと思うのですが、その際、非現業職への転用を含め、対応策等をお考えであればお示しください。

 職員の被服貸与について、お尋ねします。

 現業職員、技術職員の作業服については、業務との関係上必要だと考えますが、非現業の事務服については、1,000万円近い費用効果の点からも疑問を持っております。財政改革を緊急課題とされるのであれば、すべてのものにチェックをかけていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。

 現在、枚方市職員の勤務時間は、1日7時間30分です。それを超過した時間については、時間外勤務として手当を支払っております。ちなみに大阪府の職員の勤務時間は、1日8時間となっております。平成7年3月に改正されました枚方市の職員の勤務時間、休暇等に関する条例によれば、職員の勤務時間は、1週間38時間45分以上40時間を超えないとされ、特別措置条例の中で、当分の間37時間30分とすると定められています。

 現在の勤務時間は、この特別措置による37時間30分によっているのですが、既に4年間以上経過しております。当分の間に対する市長のお考えをお尋ねいたします。

 市民参加、民間活力の導入について。

 民間活力導入に関しては、既に議論が尽くされておりますので、市民参加について1点だけ質問させていただきます。

 市民参加については、『フロムTO』の「あとがき」で、ワークショップに触れたくだりに、「今や市民は、求める立場から参加・参画する立場へと、その様相を変化させつつある。自立する市民とそれを助ける行政という関係を確立させるためにも、行政と市民の協働は必要であろう。市役所は、住民に一方的にサービスを提供するための組織ではなく、住民自治をコーディネイトするための組織なのだ」とあります。憲法における地方自治の本旨に見る地域住民、市民党という市民派という市民とは、まさにこういう市民を指すと考えます。

 養父元町公園のワークショップが、府下でも先進としてマスコミにも大々的に取り上げられ、地域の方の協力も得て5月30日にオープンされました。南部市民センターについては、設計段階でのワークショップ方式の活用を言及されておられますが、その他このような手法での具体的な計画があれば、お聞かせください。

 福祉施策について。

 介護保険については、自治体の中でも高齢者福祉の先端を走ってきた枚方市に対する注目と期待は大きいものがあります。全国に発信できる枚方方式の確立に向けて頑張っていただけるよう要望いたします。

 高齢化社会を迎え、福祉を特定の方に対する救済という位置付けではなく、市民のだれでもが受ける可能性のある生活保障という見地に立った福祉政策が必要だと考えます。道路一つとってみても、いかにスムーズに車が流れるかだけではなく、車いすでも安全に通れる歩道の整備まで考慮した道路行政、行政全般にバリアフリーよりもう一歩進めた視点が必要であると考えますが、市長の御意見をお聞かせください。

 環境行政について。

 所信表明の中で、焼却ごみの半減を目指すとされておりますが、市長も御存じのとおり、枚方市では、議員、学識経験者、市民団体、事業者の各分野からなる廃棄物減量等推進審議会で3年半にも上る真摯な討議の上、平成10年に作成された枚方市一般廃棄物減量及び適正処理基本計画があります。この基本計画によれば、平成24年度、28%が減量目標率となっております。

 所信表明の50%という数字と基本計画に示された平成24年度、28%という数値の整合性について、お尋ねします。

 リサイクルプラザについては、何度も不要であるとの発言を繰り返してまいりました。資源ごみのリサイクルについては、そのすべてを民間に委託するべきです。委託した業者に対する厳しい指導、啓発を行うこともまた行政の仕事だと考えます。老朽化した炉のことを考えても、焼却ごみの半減を目指すのであれば、なおさらリサイクルプラザの建設を待つのではなく、直ちに全市的に展開するべきです。

 市長は、行政の役割をおっしゃいました。それならばなおのこと、市内にあるリサイクル業者の育成も含めて、大きな絵を描くべきです。10年後のリサイクル事業を考えてください。行政が大きな選別工場を持ち、リサイクル業者と肩を並べる必要がどこにあるでしょう。リサイクルプラザ建設にかかる何十億円というイニシアルコストは市の財政に大きくのしかかり、その上毎年の維持管理費も財政上大きな影響を及ぼすものと思われます。

 一方、リサイクルについては、国の方針も含めて、今後、どんどん変化していくものと思われます。この変化に対応できるような行政システムを構築していくこと、このことこそ肝要だと考えます。これは、要望にとどめます。

 東部地域について。

 第2清掃工場については、さまざまな観点からの議論が既になされておりますので、言及は避けますが、最初に申し上げました行政として経過と結果についての説明責任を果たし、情報公開による信頼性にのっとり、施策を進める上で、十分な配慮がなされますよう要望いたします。

 京田辺市の清掃工場が枚方市の境に隣接し、枚方市も清掃工場の予定地を持っていることから、東部では昨年来より両市の地域の方、行政との交流が行われていることは存じ上げております。先日、京都地域版に一部新聞報道がされておりましたが、第2清掃工場建設計画について、京田辺市との話し合いはどのように行われているのか、お尋ねいたします。

 東部地域には、産業廃棄物を扱う施設がたくさんあります。地域の方からいろいろな苦情が寄せられていますが、その指導について、具体的にお示しください。

 国道307号の慢性的な交通渋滞解消に向けて、市としての具体的な取り組みをお聞かせください。

 以上で1回目の質問を終わります。

◯中司 宏市長 市民派会議を代表されましての池上議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、2期目を迎えての政治姿勢につきまして、右肩上がりの経済成長が終えんし、もはや市民サービスのすべてを行政が提供できる時代ではなくなりました。また、地方分権時代を迎え、地方自治体では、これまで以上に自治能力を向上させなければなりません。そのためには、行政と市民、市民と市民とが同じ方向を向いて支え合い、助け合うパートナーシップを築いていかなければなりません。そのために最も重要なことは、行政が市民への説明責任を十分に果たし、情報公開や市民参加を一層促進して、相互信頼を確かなものとすることだと考えます。

 赤字解消につきましては、現在1,100億円を超える市債による公債費の増加が、本市の経常経費を増大させる原因の1つとなっており、硬直的な財政構造を改革し、財政再建を図ることが緊急の課題であります。市民生活にどうしても必要な施策や、将来を見据えて今から着手しなければならない事業については、世代間の負担を分かちながら実現しなければなりませんし、市民と行政との信頼関係の確立のためには、市民参加の市政運営を行うなど、さまざま場面で相互に心を通じ合わせることが大切であります。ただ、こうしたことを進めるためにも、財政健全化計画の見直しを行い、計画に基づいて財政指標の改善を図る考えです。

 御指摘のように、確かに数値管理の行政手法は、重要なことであり基本でありますが、そうした行政を貫くベースの理念として、私は愛や心というものがなければならないと思っておりまして、それが私の信念であります。こうした視点や価値観が十分でなければ、行政と市民との信頼関係を築くことができないと考えています。

 行政と市民の役割分担についてでありますが、地方分権時代を迎え、ますます多様化する市民のニーズや新たな行政課題が生じる中、増大する行政需要に対して確実に対応していくためには、市民サービスのすべてを行政のみが担っていくのではなく、行政と市民の役割分担を明確にし、行政の役割分野、あるいは本当にサービスを提供しなければならない場合については、行政がしっかりと担い、市民に協力を求める分野は、協力を求め、補っていただく。事業を精査して、こうしたすみ分けのもとに効率的で責任ある行政執行を図っていくことが、これからの行政の方向であると認識をしています。

 従来から行政が担ってきた事務事業の中で、税務や戸籍等の個人のプライバシーに関するような事務、あるいは許認可事務などは、行政として当然担うべき業務であります。しかし、ごみ減量などの環境問題や地域福祉、また地域の防災、防犯、青少年の健全育成、さらには迷惑駐車やペット公害などモラルやマナーアップにかかわる問題など、こうした行政と市民とがともに手を携えて補完し合っていかなければならないものや、市民の自立、自助の精神の高揚によって支えていくことができるものについては、自治会や地域団体などによる地域コミュニティーの活動やボランティア活動にゆだねながら、そうした活動に対し行政ができる限り支援し、自立、自助の精神を育てていくべきであると考えています。

 次に、職員公募のプロジェクトチームの活用について、お答えします。

 地方分権が本格化する中で、自治体では、自らの町を魅力あるものにしていくため、新しい発想による政策形成や事業の展開が必要になる場面が多くなろうと思います。新たな行政課題に取り組む際に、既存の組織で対応する場合以外に、臨時あるいは特別の担当組織を設置することは、これまでも実施してきましたが、新しい課題にチャレンジしようという意欲ある人材を引き出すために、特定のプロジェクトチームについては、職員の公募を取り入れようとする試みであります。

 なお、この取り組みに職の庁内公募は想定しておりませんが、これにつきましては、今後の研究課題とさしていただきます。

 次に、職員定数の10%削減につきましては、事務事業再構築プランの推進と職員配置の見直しにより努めてまいります。見直しを行う部門としては、いわゆる現業、非現業を問わず全部門を対象とし、実施計画の3%と合わせて、職員の創意と工夫により最終的には10%を目標に努力したいと考えております。

 現業職の過員については、事務事業再構築プランの進捗状況にも関連することですが、基本的には、退職者の後任を補充しないことにより対応できるものと考えます。

 また、転用を図る場合には、労使協議の上、本人の希望を尊重することが基本となっております。なお、現業職員から非現業職員への転用は、採用時の基準も異なり、基本的には困難と思われますが、庁内の活性化を図る観点から今後の課題として検討してまいりたいと考えています。

 職員の事務服につきましては、福利厚生の一環としてだけでなく、勤務中の着用を求めるなど、服務規律の確保の観点から貸与しているところです。経費節減に向け、貸与基準の改善に努めていますが、このことにつきましては、さまざまな意見もあり、今後、職員や市民の意見も聞くなど検討していきたいと考えます。

 職員の勤務時間について、お答えします。

 労働基準法では、週40時間を使用者が守らなければならない最低基準とし、労使間で締結した労働協約によって就業規則を定めるよう規定しています。地方公務員法においても、職員の給与・勤務条件は、職員団体との交渉事項であるとともに、条例で定めなければならないこととなっています。府内各市の状況や労働時間短縮の推進が国際的な流れであることを考え合わせ、現在の措置を講じており、今後も職員の給与・勤務条件等、総合的な観点から方向性を見定めていきたいと考えます。

 次に、市民参加に関しまして、行政と市民とのパートナーシップを築くために、今後、公共施設の設計へのワークショップ方式の採用や計画策定への参画など、それぞれの場面で市民参加の拡充を図る実績を積み重ねてまいります。交北公園の整備に当たりましても、市民の意見を反映させる方法を考えてまいります。

 次に、今後の福祉施策の視点について、お答えします。

 21世紀の少子・高齢社会においては、人が尊厳を持って自立した生活が送れ、道路などの生活空間を含め、生活の質を高めていくこと、そして、人と人とが支え合い、助け合うという愛と温もりをはぐくんでいくために、行政と市民、あるいは事業者やNPOがそれぞれの役割を果たすことのできる仕組みを作ることが政策の視点であると考えています。

 次に、環境行政について、御質問いただきましたが、焼却ごみの半減化と一般廃棄物減量及び適正処理基本計画及び廃棄物減量等推進審議会との整合性について、お答えします。

 本市の一般廃棄物減量及び処理基本計画は、目標年次を平成24年度と定め、おおむね5年ごとに見直すこととなっています。焼却ごみの半減化については、およそ3年間をかけて緊急の対応と準備の期間としながら、全体としておよそ10年計画で実施していく考えであります。そこで、今後、一般廃棄物減量及び適正処理基本計画の見直しの時期に合わせ、全体的な整合性を図っていきたいと考えています。

 次に、東部地域に係る御質問について、お答えします。

 第2清掃工場建設計画に係る京田辺市住民との対応につきましては、京田辺市の担当部署を通じて、その都度対応さしていただいております。5月には、地元自治会より説明の要望があり、京田辺市の依頼に従って担当者を派遣し、説明さしていただいたところであります。また、それに関連し、京田辺市側の清掃工場の環境対策等についても、京田辺市長に申し入れを行っておりますし、こうした問題に対して連携を密にするため、本市との連絡会をスタートさせました。

 したがいまして、今後も京田辺市と十分に協議を行って対応してまいります。

 次に、御質問の産業廃棄物業者の指導につきましては、これまでも地域の住民の方々からの御要望を受け、本市としても可能な限り対応してきましたが、今後も地域住民の皆さんの意見を十分にお聞きしながら、さらに大阪府等の関係機関と協議をし、騒音、振動、悪臭、ほこりなどを削減させる指導を行うとともに、地域での野焼きや不法投棄の防止、そうした強化に努めます。また、環境整備に必要な条例、規則、要綱等による指導、誘導などの方策について、検討してまいります。

 次に、国道307号の渋滞解消等について、お答えします。

 本市としましては、第二京阪道路の部分供用開始に合わせて、枚方東部線、枚方藤阪線の整備に取り組んでおり、枚方東部線については、平成14年度中をめどに開通できるようにします。また、第二京阪道路への連絡機能を高めるために、右折レーンを設けることや交差点の改良を行うことで、渋滞の解消を図っていきたいと考えています。

 また、地域の方々の利便性を高めるために、JR長尾駅へのバスの拡充等を図れるよう働きかけを行っていきます。さらに、懸案になっておりましたロワール上手の歩道設置につきましては、準備としての穂谷川の河床の工事を終え、大阪府において、今年の秋には、歩道設置工事に着手いたします。

 以上で終わらしていただきます。

◯池上典子議員 今回は、所信表明に対する代表質問ということで、個々具体なものについては、今後、政策を実行に移される中で、お尋ねいたしたいと思います。

 所信表明に見られる説明責任、情報公開、市民とのパートナーシップ、環境、福祉等、市長のお示しになった方向性については、共鳴できます。ただ、財政についての緊急性、危機感の認識に多少の温度差があるように感じます。

 今議会の答弁の中で表明されました財政の健全化、まちづくりビジョンが、できれば1期の4年間で、一刻も早く実現されますよう市長の強いリーダーシップを期待いたしまして、代表質問を終わります。

 

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